【歯科用語】顎関節症(TMD)

顎関節症(TMD)

TMD:Temporomandibular Disorders

【同義語】顎機能障害(日本顎関節学会の正式名称)

顎関節や咀嚼筋の疼痛、顎関節雑音、開口障害や顎運動異常を主な症状とする慢性疾患群の総括的診断名。

【病因】

発症メカニズムは不明なことが多い。

環境因子:仕事のストレス、生活のストレス、対人関係のストレスなど

行動因子:硬固物の咀嚼、長時間の咀嚼、長時間のデスクワーク、単純作業、重いものを運ぶ、料理、編み物、絵画、楽器演奏、ある種のスポーツなど

習癖:覚醒時ブラキシズム、TCH、日中の姿勢、睡眠時の姿勢、睡眠時ブラキシズムなど

宿主因子:咬合、顎関節の形態、咀嚼筋構成組織、疼痛閾値、疼痛経験、パーソナリティ、睡眠障害など

時間因子:リスク因子への暴露時間

【随伴症状】

  • 頭痛
  • 首、肩の凝り
  • 耳鳴り
  • 難聴
  • めまい
  • 舌痛
  • 咬合の不安定感
  • 手足のしびれ
  • 自律神経失調症状

など。多くは患者の主観的症状。

【症型分類】

I型:咀嚼筋障害

II型:額関節痛傷害(関節包・靭帯)

IIIa型:復位型関節円板前方転位

IIIb型:非復位型関節円板前方転位

IV型:変形性顎関節症

V型:その他

【疫学】

顎関節症治療の指針2020によると、顎関節の自覚症状がある人は10人に1~2人、顎関節症の疑いがある人は5人に1~2人。

顎機能障害の診療ガイドラインによると、他覚的に顎関節に異常がみられる割合は2人に1人。そのうち治療が必要なのは10人に1人いないくらい。

初診患者の10%程度に顎関節異常がみられると思われる。

男性より女性に多い。

患者数は10代後半から、20~30代にピークがくるとの報告があるが、40代~50歳前後にもう一度ピークがくるとの報告もある。

 

 

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