たったひとつしかないこの身体は、この先何十年と使っていかなければいけません。
言ってみれば、100年ずっと乗り換えの利かない自動車のようなものです。
最近は健康的な美しさやアンチエイジングなどに高い意識のある人が増えていますが、そのような人たちが普段から気を遣っているのはやはり食べ物です。
彼らはきっと食品を買うときに、必ず裏の原材料表示を確認するでしょう。そして、遺伝子組み換えという文字があれば買うことはしません。
しかし、日本ではこの原材料表示がわかりにくく、遺伝子組み換え食品に対する規制も非常にゆるいのです。
今回は、遺伝子組み換えという表示がないけれども実は遺伝子組み換え食品である可能性が高い原材料について学びました。
この記事を読んでわかること
- 遺伝子組み換えってなに?
- 日本で認可されている遺伝子組み換え食品
- 表示されない遺伝子組み換え食品
- 日本は遺伝子組み換え食品に対する規制がゆるい
- ひとりひとりの声や選択が日本を変える!?
1.遺伝子組み換えってなに?
遺伝子組み換えとは、食品や作物の遺伝子の一部を切断し、そこにまったく別の生物の遺伝子の一部を組み込んでつなげることによって、人が望むような特徴を持たせる技術のことです。
たとえばこの技術を使って、病気に強かったり寒さに強かったりする作物をつくることができます。
一見私たちの生活を便利にしてくれそうなこの遺伝子組み換え技術は、実は環境への影響や健康に対する安全性などがまったくわかっていないのです。
それなのに、遺伝子組み換え技術によってつくられた遺伝子組み換え食品は、日本ではたくさん流通しています。
原材料に遺伝子組み換え作物を使っている場合、その表示が義務付けられているのですが、その対象は非常に限られているようです。
2.日本で認可されている遺伝子組み換え食品
現在日本で認可されている遺伝子組み換え食品は以下の通りです。
日本で認可されている遺伝子組み換え食品
- 大豆
- とうもろこし
- 菜種
- アルファルファ
- パパイヤ
- ばれいしょ
- 綿
- てん菜
- からし菜
これら9つの作物には、「遺伝子組み換えである」ということがわかるように表示することが義務づけられています。
とくにこれら作物のうち輸入されたものは、その多くが遺伝子組み換え作物です。
これらの認可された遺伝子組み換え作物に加え、一部の原材料にだけその表示が義務付けられており、その表示の仕方は以下の通りです。
遺伝子組み換えの表示義務
- 上記9つの遺伝子組み換え作物を加工して作られた食用油や添加物の一部
- しかも、原材料の重量順で上位3位、かつ重量比で占める割合が5%より多い場合のみ
遺伝子組み換えの表示方法
- 「遺伝子組み換え」…遺伝子組み換え作物を使っていますよ、という意味
- 「遺伝子組み換え不分別」…遺伝子組み換え作物が、その製品の重量比で少なくとも5%を超えて入っていますよ、という意味
3.表示されない遺伝子組み換え食品
遺伝子組み換えが認可されている9つの作物については「遺伝子組み換え」であるという表示義務がありますが、その加工品や、それを食べて育った家畜や卵には表示しなくてよいものが多いです。
表示されない遺伝子組み換え食品
- 認可されている9つの遺伝子組み換え作物を加工して作られた食用油や添加物のほとんど
- 加工品の原材料の重量順で4位以下、あるいは重量比で占める割合が5%以下のもの
表示されない遺伝子組み換え食品の具体例
- しょうゆ
- 醸造酢
- 食用油
- 果糖ブドウ糖液糖、水あめなどの甘味料
- コーンスターチ、乳化剤、カラメル色素、加工でんぷんなどの添加物
たとえば、大豆の加工品である豆腐、納豆、みそには表示義務がありますが、しょうゆは義務がありません。
とうもろこし、大豆、菜種、綿は食用油に加工されますが、遺伝子組み換えの表示義務はありません。
とうもろこし、大豆はしょうゆ、醸造酢、コーンスターチ、果糖ブドウ糖液糖、水あめ、乳化剤、カラメル色素、加工でんぷんなどに加工されますが、これらも表示義務はありません。
ちなみに、遺伝子組み換えではありませんが、似たような技術であるゲノム編集技術を用いた作物については、まったく表示されていません。
4.日本は遺伝子組み換え食品に対する規制がゆるい
こうした加工品は遺伝子組み換え原料由来のものが多いにもかかわらず、表示義務がないので消費者は原材料一覧を見てもわからないのです。
その理由は、これら加工品になってしまうと遺伝子組み換え作物が使われたかどうか検出できなくなってしまうものがあるからです。
しかも、現行の法律では、そもそも重量順で4位以下、あるいは重量に占める割合が5%以下であれば表示されないのです。
そんな日本は世界でも有数の遺伝子組み換え食品消費国だそうです。
実際、私たちが知らず知らずのうちに摂取している遺伝子組み換え食品は、お米の年間消費量の2倍以上です。
遺伝子組み換え食品に対する規制は、EUが一番進んでいて厳格に規制されており、EUでは基本的に遺伝子組み換え食品は市場に出回っていません。
ドイツの人が一度だけ見かけたという話があるそうですが、それはアメリカから輸入されたお菓子だったそうです。
しかしこれが日本だったら表示すらされません。表示がなければ消費者の知る権利、選ぶ権利は守られないのです。
日本のお隣である韓国や台湾も、日本よりは進んでいます。
世界はそのように遺伝子組み換え技術の危険性に気づき、遺伝子組み換え食品を規制するようになってきていますが、日本ではまだそのあたりの考えが遅れていて、それは遺伝子組み換えの表示義務のあり方にも表れています。
5.ひとりひとりの声や選択が日本を変える!?
ある製油会社の人の話です。
オーストラリアの非遺伝子組み換え菜種生産者に、多少高くても買うと言い続けていたら、作ってくれる人が増えたそうです。
買う人が良いものを選択し続けたら、よいものを作る人が増え、価格も下がっていくはずです。
日本の遺伝子組み換え食品に対する表示義務は、1996年に遺伝子組み換え食品が輸入された当時はありませんでした。
しかし、消費者の運動により5年後、不十分とはいえほぼ現行の表示義務が法律で定められました。
みんなであきらめず声を上げ続けることが大切のようです。
まとめ かくれた遺伝子組み換え食品を見極め、安全な選択をしよう
身体は食べたものからできています。
よい材料を入れてやらなければ、長期にわたってよいコンディションを保てる身体は手に入りません。
自分や家族の健康や、それによってもたらされる若さや健康的な美しさのためにも、正しい知識をつけて安全な食品を選択したいですね。
また、消費者である私たちひとりひとりがよいものを見極め選択する(買う)ことで、よいものを作ってくださる人を応援し、行動で意思を示していくことができるのではないでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。何かお役に立てたらうれしいです!