歯科医院で働いていると、いい歯医者さんに出会うことは大人にとっても子どもにとっても非常に大切なことだなぁと感じます。
しかし、この”いい”歯医者さんとは、歯医者が思ういい歯医者さんと患者さんが思ういい歯医者さんは異なることもしばしばあるようです。
むし歯を過不足なく除去できておらず、詰め物の材料的特徴に気をつけて丁寧に詰めることをしていなくても、処置が速ければ患者さんの目には「治療が速くて上手な先生」と映りますし、患者さんの将来のことを本当によく考えたら抜いたほうがよい歯を無理やり残せば、患者さんは「ほかの歯医者では抜かなければいけないと言われた歯を残してくれた」と思います。
確かに、むし歯もきちんとスピーディーに取り切ってきちんと詰めることができる歯医者さんもいますし、抜くべき歯の判断は難しく、一見抜いたほうがよく見えても抜かずに残せる場合もあります。
こういった細かい内情は患者さんからしたらわからないですよね…。
しかし、”いい”歯医者さんに出会えるかどうかは、患者さんの口の中の健康やその後の将来を左右しかねません。
また、大人にとってのいい歯医者さんと、子どもにとってのいい歯医者さんでは異なるように考えています。
そこで今回は、「もし友人や家族におすすめするとしたら、自分が選ぶとしたら」という観点で、わたしなりに”いい歯医者さんの見つけ方”を【乳歯列期の子ども編】で考えてみました。
- 無理やり治療せず、なるべく泣かせない
- 食事指導、ブラッシング指導に重点を置いている
- 必ずしも小児歯科出身である必要はない
1.無理やり治療せず、なるべく泣かせない
乳歯の場合は基本的にはそのうち永久歯に抜け替わるので、大人の治療と異なり、きちんと治すのも大切ではありますがどちらかというとその子がどのくらい上手に歯科治療を受けられるかを見極めて、なるべく泣かせずに治療してくれる方がよいと思います。
なぜなら、子どもの場合は無理やり治療されて泣いてしまったという嫌な思い出ができると、それがトラウマとなり、その後の治療ができなくなるからです。
このトラウマが大きいと、大人になっても歯医者嫌いで歯が痛くなっても歯医者に行けず、いよいよボロボロになってから来院される方もいらっしゃいます。しんどかったであろうに、もっと早く来れたら歯を失わずに済んだのになぁということがあります😢
もちろん、急性炎症があり痛みがあって苦しんでいる場合は、どうしても治療をしなければいけない時もありますが、それ以外は無理せず、必要であれば治療前の練習を数回行って慣れさせてあげるのがよいと思います。
練習では実際に治療するのではなく、どういった道具をどのように使うか治療の流れを説明したり、口の中で水をためておく練習や口を開けておく練習をして、少しずつ慣れさせ、自信をつけていきます。この時、その子とたくさん話して、子どもとの関係も築いていくことができます。
忙しいお母さんやお父さんに何度もお子さんを連れてきてもらうのは心苦しいのですが、その子(の将来)のために、しっかり練習し、たくさん子どもに話しかけ、なるべく泣かせずに治療をしてくれる歯医者さんがよいのではないかと思います。
2.食事指導、ブラッシング指導に重点を置いている
これは大人の治療でも非常に重要ですが、子どもの場合は特に重要だと思います。もしかしたら治療そのものよりも大切なのでは…。
なぜなら、小さいうちに食事のとり方やブラッシング方法、その重要性を知り、身につけておくことは、将来乳歯が抜けて永久歯が生えてきたときにむし歯や歯周病のリスクを減らすことができるからです。
その子の人生のことを思ったら、とっても重要ですね。
食事指導やブラッシング指導の重要性を保護者の方にきちんと説明してくれて、毎回指導したことができているか確認してくれて、子ども本人にもブラッシング指導をしてくれる歯医者さんがよいのではないかと思います。
3.必ずしも小児歯科出身である必要はない
そもそも小児歯科出身の先生を町の歯医者さんで見つけるのは難しいということもありますが、小児に関しては大学院での専攻はそんなに気にしなくてもいいのかなぁと思います。
もちろん、小児歯科出身の先生の方が、子どもや子どもの治療に慣れていると思いますが、そうでなくても前述した2つのことをしてくれるような歯医者さんであれば問題ないと思います。
まとめ
子どもの治療は、まだいろいろなことがわからない小さな子が相手である点と、乳歯が対象である点で特殊であると言えます。
4歳くらいになってくると一人で上手に治療を受けられるようになってきますが、何かトラウマがあったり怖がりさんであったりしても、練習したり年齢が上がってくればだんだんできるようになってきます。
お子さんやお父さんお母さんに合ったよい歯医者さんに出会い、ご家族のお口の健康が維持できるように、何か参考になりましたらうれしいです。